【読書レビュー】『トルネード キャズムを越え、「超成長」を手に入れるマーケティング戦略』 ジェフリー・ムーア
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★☆☆
■タイトル:『トルネード キャズムを越え、「超成長」を手に入れるマーケティング戦略』
■著者:ジェフリー・ムーア
ハイテク企業向けにマーケティング・コンサルティング・サービスを提供する「キャズムグループ」代表。米国ビジネス界を代表するコンサルタントの一人。
「キャズム」は1991年から現在に至る10年間売れ続け、いまやハイテク関連企業のバイブル的存在であり、スタンフォード大学ほか、多くの一流ビジネススクールにて課題図書となっている。
<著者の主張>
ライフサイクルが次の段階に進んだ時には、戦略を少し変更する程度では足りない。勝つためにはむしろ以前とは正反対の戦略をとる必要がある。
<ポイント>
■トルネードの事例
1980年代10年間、オラクルの売上高は毎年100%の成長
ソニーのCD-ROMプレイヤーの販売台数は、1992年に1000万台に達するまで7年かかったが、その後は加速し、たった7ヶ月で累計2000万台、つづく5ヶ月で3000万台を突破。
■ライフサイクル
1)初期市場
新しいテクノロジーにとびつくテクノロジー・マニアやビジョナリーが顧客
2)キャズム
深刻なスランプ。初期市場が冷めてくる一方でメインストリーム市場は製品の未熟さを嫌って食指を動かさない。
3)ボウリング・レーン
メインストリーム市場を標的にする前に特定のニッチ顧客を狙いすます時期。
顧客側の強いニーズと開発企業側の積極性を土台にして、ニッチ分野の需要を満たすホールプロダクトが生み出される。
4)トルネード
メインストリーム市場が開花。一般顧客が新しいパラダイムをインフラとして採用する。
5)メイン・ストリート
アフターマーケットの時期。さらなる可能性の追求に取り組み始める
6)終焉
ハイテク業界では驚くほど早く寿命をつきかねない。
■トルネード
月曜日に机の上には仕事が並んでいる。顧客の需要に追いつくのに精一杯。
全ての従業員が限界まで追い込まれ、よその会社はことごとく敵に見える。
トルネードの中で奮闘する者達にとって唯一の報酬は権力と富。
■トルネード・マーケティングの原則
1)競合他社を容赦なく攻撃
2)流通チャンネルをできるだけ早く拡大
3)顧客は無視
※競合他社に打ち勝つことが重大な意味をもつ、ひたすら売りまくれ。
・顧客との接点数を増やしておく必要
・営業スタッフを倍増
・成果を出したものに高級。落伍者は容赦なくクビ
トルネードの時期は例え顧客の満足が低かろうと、新規顧客の獲得のほうが圧倒的に重要
勝利のための心得
1)ひたすら出荷
2)流通チャンネルを拡大
3)順次、価格の引き下げをめざす
注意点
1)トルネードは1社ではコントロールできない
2)トルネードのさなかに不連続性を交えるべからず
3)トルネード中にサービスを売りにしない ホールプロダクトで勝負
4)トルネードを防ごうとあがくのは無駄
トルネードでのホールプロダクト
ソリューションをもっと標準化してほしい
■メインストリート
・売上高や純益の見通しが急激に下降
・過去1,2年の帳簿を修正する必要に迫られる
・大勢の幹部が次々に辞表をだす
・株価が大幅下落
・株主訴訟が発生
エンド・ユーザーの狙い方
求めるもの「この方が効率がよい」「楽しい」「疲れない」といった製品を実際に使う上での個人的な満足感
プラスワンの提供
メインストリートの最大の特徴「新規顧客を見つけて基本的なコモディティを売るだけでは、利益を伸ばしつづけることは不可能。既存の顧客層をベースに付属的なニッチ市場を開拓する必要がある」
付加価値をつけて、買い足しをさせる。⇒差別化
■用語
カスタマー・インティマシー
カスタマー・インティマシーとは、顧客と親密な関係を築き、関係を強固にすることで顧客を囲い込み、長期の安定した良好な関係を築いて戦略的優位性を構築する考え方。