【読書レビュー】『まんがで身につく 孫子の兵法』 長尾一洋
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★☆☆
■タイトル:『まんがで身につく 孫子の兵法』
■著者:長尾一洋
<著者の主張>
孫子の兵法について、
<ポイント>
■九変篇
智者の慮(おもんばかり)は、必ず利害を雑(まじ)う。利に雑うれば、すなわち務(つとめ)は信(まこと)なるべし。害に雑うれば、すなわち患(うれ)いは解くべし。
⇒物事にはプラスとマイナスの面があるので、一方向からだけで見ない。
■行軍篇
鳥の起(た)つ者は、伏(ふく)なり。獣のおどろく者は、覆(ふう)なり。塵(ちり)高くして鋭き者は、車(しゃ)の来(きた)るなり。
⇒予兆があるので、ちょっとした変化も見逃さずにその先を読む。
■謀攻篇
用兵の法は、十なれば即ち之を囲む。五なれば即ち之を攻む。倍すれば即ち之を分かつ。敵すれば即ち能(よ)く之と戦う。少なければ即ち能く之を逃(のが)る。しからざれば即ち能く之を避く。故に小敵の堅なるは大敵の擒(とりこ)なり。
⇒勝ち目がないのに無理して戦うべきではない。ビジネスには撤退する勇気も必要。
■謀攻篇
上兵は謀(はかりごと)を伐(う)つ。其の次は交(まじわり)を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻む。
⇒敵の意図や狙いを無力化がベスト。その次にいいのは、敵とその他の交流や協力関係を分断、次にいいのが、普通の戦い。一番ダメなのが相手が備えているところに攻めること。
■謀攻篇
彼を知り己を知らば、百戦殆(あや)うからず。彼を知らずして己を知らば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。
⇒相手を知り、冷静に見極めることが大切。
■虚実篇
我れ専(あつ)まりて一と為り、敵は分かれて十と為らば、十を以て其の一を攻むるなり。
⇒得意分野に一点集中すれば、大きな敵に勝てる。弱小は弱小なりの戦い方があり、大手のやり方を真似してはいけない。
■虚実篇
兵の形は水に象(かたど)る。水の行(こう)は高きを避けて下(ひく)きに走る。兵の勝は実を避けて虚を撃つ。
⇒戦い方は相手に合わせて柔軟に。「戦い方には決まった形がない方が良い」孫子
■虚実篇
千里を行きて労せざる者は、無人の地を行けばなり、攻めて必ず取る者は、其の守らざる所を攻むればなり。
⇒敵がいないところを攻める。
■九地篇
古(いにしえ)の善く兵を用うる者は、能く敵人をして前後相い及ばず、衆寡相いたのまず貴賎相い救わず、上下相い扶(たす)けざらしむ。
⇒戦上手は敵の前衛・後衛、大部隊・小部隊、上官・部下の連携を断って、組織的に弱くしてから攻撃をしかける。
■九変篇
用兵の法は、その来たらざるをたのむこと無く吾が以て待つこと有るをたのむなり。
⇒最悪の事態を想定し、それに備えよ
■作戦篇
智将は務めて敵を食(は)む
⇒敵地で食料調達。敵をうまく利用する。
■作戦篇
敵を殺す者は怒(ど)なり。敵の貨を取る者は利なり。
⇒敵兵は大切に扱い、自軍に取り込め。
■九地篇
呉人と越人の相い悪(にく)むも、其の舟を同じうして済(わた)り、風に遇うに当たりては、其の相い救うこと左右の手の如し。
⇒呉越同舟。そうせざる状況におけば人は動く。
■軍形篇
昔(いにしえ)の善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ。勝つべからざるは己に在り、勝つべきは敵に在り。
⇒まずは負けないように万全に備えてから敵に勝つことを考えよ。
■用間篇
明主・賢将の動き人に勝ち、成功の衆に出づる所以の者は先知なり。
⇒優秀な人はスパイなどで情報を得ている。兵法は実学、生きるか死ぬかの真剣勝負では事実に基づく判断が必要。孫子は占いに頼らなかった。
■用間篇
軍を撃たんと欲する所、城の攻めんと欲するところ、人の殺さんと欲する所は、必ず先ず、其の守将・左右・謁者・門者・舎人の姓名を知り、吾が間をして必ず索(もと)めて之を知らしむ。
⇒先知、攻める相手の情報を得よ
■計篇
兵とは詭道なり。故に、能なるも之に不能を示し、用いて之に用いざるを示す。近くとも之に遠きを示し、遠くとも之に近き示し、利して之を誘い、乱して之を取る。
⇒戦争とは相手を欺く行為。
■謀攻篇
百戦百勝は、善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。
⇒百戦百勝より、戦わずに敵が降伏したり同盟を結ぼうとしてきてくれたら、それが一番。
■地形篇
卒を視ること嬰児(えいじ)の如し。故に之としんけいにも赴くべし。卒を視ること愛子の如し。故に之と倶に死すべし。
⇒日頃から部下に愛情をもって接するから、いざという時に危険な場所へも行くし、死ぬ覚悟で戦ってくれる。ストロークが大切。
■九地篇
之を往(ゆ)く所無きに投ずれば、諸・かいの勇なり。
⇒背水の陣に置かれれば、人は勇者のように戦う。
■火攻篇
主は怒りを以て師を興すべからず。将はいきどおりを以て戦いを致すべからず。
⇒君主は一時的な感情で戦争を起こしてはいけない。
■作戦篇
兵は拙速(せっそく)を聞くも、未だ巧久なるをみざるなり。
⇒多少拙くてもスピードが大事。逆にスピードがなければ成功はしない。
■計篇
孫子曰く、兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。
⇒孫子の冒頭。
■計篇
未だ戦わずして廟算(びょうさん)するに、勝つ者は算を得ること大きなり。未だ戦わずして廟算するに、勝たざる者は算を得ること少なきなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。況(いわん)や算無きに於いてをや。
⇒戦う前の準備で既に戦いは決まっている。
■軍形篇
勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いてしかる後に勝を求む。
⇒勝つ人は勝利から逆算して戦いに臨む。
■九地篇
はじめは処女の如くして、敵人、戸を開くや、後は脱兎の如くす。敵、拒(ふせ)ぐに及ばず。
⇒最初はしおらしくしておき、道が開けたら一気に攻め込む。
■軍争篇
軍政に曰く、言うも相い聞こえず、故に金鼓を為(つく)る。視(しめ)すも相い見えず、故に旌旗(せいき)を為る。是の故に昼戦に旌旗多く、夜戦に金鼓多し。夫れ、金鼓・旌旗は人の耳目(じもく)を一にする所以なり。人既に専一なれば、即ち勇者も独り進むことを得ず。怯者も独り退くことを得ず。此れ衆を用うるの法なり。
⇒部隊の意識統一が大切。