【読書レビュー】『池上彰の教養のススメ 東京工業大学リベラルアーツセンター篇』 池上 彰
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★★☆
■タイトル:『池上彰の教養のススメ 東京工業大学リベラルアーツセンター篇』
■著者:池上 彰
ジャーナリスト・東京工業大学リベラルアーツセンター教授。
1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。
地方記者から科学・文化部記者を経て、報道局記者主幹に。
94年4月より11年間「週刊こどもニュース」
2005年にNHKを退職
<著者の主張>
<ポイント>
ルールを守るばかりでなく、ルールを創る側に回る。そのときに必要となるのが教養。
「大学時代、カリグラフィーの面白さにハマった。カリグラフィーを傾倒したからこそ、アップルの初代コンピュータ、マッキントッシュを生むことができた。文字フォントの見栄えに徹底的にこだわること。ユーザーインターフェースを妥協無くデザインすること。持って触って気持ちのいい製品デザインを体現すること。カリグラフィーが私の原点だ」
未来に必要なものは、「いまはまだないもの」を生むことです。逆にいえば、みんながつかっている「今役に立つ道具」では未来を生むことができない。一見「役にたたない」「関係ない」教養こそが、未来を生む創造的な力となる。
今の現時点で自分には一番役にたたなそうな学問にアプローチしてみる
つくば市の自殺について
人間の感情と本性を無視した机上の合理主義で作った街は、結局のところ人間が暮らせる街にならない。大きな意味で合理性を欠いた街になってしまう。
霞堤の考え方は、洪水を許容する、ただしその結果起きる水害を防ぐ。さらに洪水がもっている機能(土砂の運搬)を積極的に活用する
合意形成の際に、クリエイティブな答えは物静かな少数派がもつ。
大事なのはサイレント・マジョリティ
時間もなければ秩序のないようなところで暮らしているインドの人々
「生活世界の植民地化」:効率化して短時間で最大限のアウトプットを得なきゃいけない、という近代社会の考え方の植民地になっている。
■用語:
国民総幸福(GNH)
KJ法:KJ法(-ほう)は、文化人類学者の川喜田二郎(東京工業大学名誉教授)がデータをまとめるために考案した手法である。KJは考案者のイニシャルにちなむ。データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、図解し、論文等にまとめていく。共同での作業にもよく用いられ、「創造性開発」(または創造的問題解決)に効果があるとされる。
アンガージュマン:市民が現実の社会、現実の政治に自らの意志で関わっていく(サルトル)
デュミナス:ある機能をもった「もの」がその可能性を発現せず、眠っている状態
⇔エネルゲイア:実際に機能を発現した状態
ADR:Alternative Dispute Resolution