【読書レビュー】『巨象も踊る』 ルイス・V・ガースナー
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★☆☆
■タイトル:『巨象も踊る』
■著者:ルイス・V・ガースナー
1942年ニューヨーク州生まれ。63年ダートマス大学工学部卒業。65年ハーバード大学ビジネススクールでMBAを取得。同年マッキンゼー入社。77年アメリカン・エキスプレスに旅行関連サービスグループの責任者として入社。89年に合併後のRJRナビスコ最高経営責任者(CEO)に就任。93年、崩壊の淵にあったIBMの会長兼CEOになる。その後数年のうちにIBMを再生させ、90年代を代表する経営者として称賛を浴びる。2002年春にCEOを退任し、同年末までIBM会長。このほか複数の公職、社外取締役を兼務。また教育分野での貢献によって数多くの賞を受けている。
<著者の主張>
崩壊の淵のIBM再生の物語
<ポイント>
最初の戦略会議
戦略を議論しているのに、本当の意味での戦略的裏付けがないに等しいことであった。
顧客のセグメンテーションには一度も触れられなかった。他社の競合製品と比べられることもほとんどなかった。種々の話題を総合して、IBM全体として見方をまとめられることはなかった。
問題のある点
やみくもに権限分散を急いでおり、経営幹部はこぞって「自分の部門を子会社にしてくれ」と言っている
部門横断的な問題が迅速に解決されていない
IBMでは、MCの一員になることこそ出世の究極の目標だとされていた。
CIOの肩書をもつものが128人もいた。
IBMに求められているのは、各事業についての冷徹で、市場動向に基づく実効性の高い戦略だ。つまり、市場での実績を高め、株主価値を高める戦略だ。
私の経営哲学と経営方法
・手続きではなく、原則で管理する
・やるべきことを決めるのはすべて市場である。
・品質、競争戦略・計画、チームワーク、ボーナス、理論的な責任の重要性を確信している
・問題を解決し、同僚を助けるために働く人材を求めている。社内政治を弄する幹部は解雇する
・私は戦略の策定に全力を尽くす。実行は経営幹部の仕事だ。悪いニュースは隠さないように。私に問題の処理を委ねず、横の連絡によって解決してほしい。
・速く動く。間違えた場合でも、行動を起こすのが速すぎたためなら、まだ良い。
・組織階層は意味をもたない。会議には地位や肩書に関わらず、問題解決に役立つ人を集める。委員会や会議は最小限に減らす。委員会で意思決定する方式はとらない。意見交換は率直に行う。
・私は技術を完全に理解しているわけではない。技術を学ぶ必要はあるが、完全に理解するとは期待しないように。部門責任者は、技術の言葉をビジネスの言葉に翻訳するのが役割だ。