【読書レビュー】『スリランカの悪魔祓い』 上田 紀行
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★★☆
■タイトル:『スリランカの悪魔祓い』
■著者:上田 紀行
1958年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程修了。文化人類学。
東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授。人間の「癒やし」を多方面から追求しつづけている。
<著者の主張>
スリランカの悪魔祓いから見える。現代の日本人に足りないもの。
<ポイント>
人は どんな時に病み、どんな時に癒やされるのか
⇒孤独になった時、世間からの阻害感
3円も出せばインドでは美味しいお茶が飲める。そのお茶にはエネルギーがあり、力がある。
学問というフィクション
⇒権威主義的にみんなを納得させて、調査を円滑に進めていく。
なぜ人々は悪魔祓いに癒やされるのか。
⇒患者の共同体への再統合。
儀式が意味するもの
⇒儀式は人間関係や社会関係を修復したり、調停したり、社会に統合をもたらす。
一人の男と女が夫婦という社会単位になる。葬式一人の人間がこの世からいなくなる。その人不在の社会関係の始まりの場。お祭り=社会統合・一体感。
実際の癒やしは学者の分析とは逆
記号がどれだけ記号でなくなるかという次元で起こっている。
サイモントン療法:癌は気持ちで癒せる。
⇒心と身体を分けて治療するが、本来身体の問題と心の問題はつながっている。
現代の日本人に足りないもの。
⇒癒やしではなく「つながり」