【読書レビュー】『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』 ヘンリー・ミンツバーグ
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★☆☆
■タイトル:『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』
■著者:ヘンリー・ミンツバーグ
カナダ・マギル大学教授。MITスローン経営大学院で博士号取得後、マギル大学で機械工学の学位取得。2000年に米国経営学会から優秀研究者に選ばれるなど最も影響力のある経営学者の一人。
<著者の主張>
MBA取得者が会社を滅ぼす。キチンとしたマネジャーを育てるべき。
<ポイント>
業績不振の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は90%
業績好調の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は55%
(Adage.com 2006年)
マネジメントは本来、
クラフト(=経験)
アート(=直感)
サイエンス(=分析)
の3つを適度にブレンドしたものでなければならない。
サイエンスに偏りすぎたマネジメント教育は、官僚的な「計算型」のマネジメントスタイルを育みがち、ビジネススクールで教育をうけたアーティスト気取りは「ヒーロー型」のマネジメントを行う傾向がある。
必要なのはバランス感覚のある献身的な人材。「関与型」のマネジメントを行える人材。
広域な現場感覚を積むという唯一の可能な方法でその知識を身につけた人たちがMBAという肩書がないという理由で出世コースから外されて、本来はその資格のない「リーダーシップ」に従うことを強いられている。
⇒ネズミが象の頭を踏む
マネジメントは人の背中を押す仕事、メンバーの一番いい部分を引き出すことが望まれる。
「上級マネジャーの地位を熱望する人たち」にはおうおうにして「『経営する意志』が欠けている」⇒高い給料、高い地位に出世したいだけ。
日本人企業幹部(米国MBAホルダー)
米国MBAに期待するのは英語力。海外ビジネスマンに通訳をしてもらうことがある。MBA留学をさせた社員がビジネススキルを見違えるほど高めて帰ってくることはない。ただ「アメリカの社会、法律、文化の仕組みに関する理解が深まる」という利点が米国MBAにはある。
MBA取得者が一番居心地良いのはハードデータに依存する産業。データがふんだんにある古い産業のほうがよい。日用消費財産業
本物の起業家は、大抵アーティスト的な性質をもっている。洞察力に富んだ構想家が多く、MBA教育を迂回する人が少なくない。群衆の中心にいたがるMBA取得者と違って、この人たちは群衆から飛び出したがる。