【読書レビュー】『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』 カレン・フェラン
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★★★
■タイトル:『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』
■著者:カレン・フェラン
経営コンサルタント。マサチューセッツ工科大学(MIT)及び同大学院を卒業後、デロイト・ハスキンズ&セルズ(現デロイト・トウシュ・トーマツ)、ジェミニ・コンサルティング等の大手コンサルティングファームで戦略・オペレーション、組織開発、IT分野の経営コンサルタントとして活躍。その後、製薬大手ファイザーに転職して研修部門を立ち上げたのち、コンシューマー部門のアジア太平洋地域のIT担当マネージャーを、続いてジョンソン・アンド・ジョンソンではコンシューマービジネス部門のオンライン・マーケティング担当のマネージャーを務めた。現在はオペレーティング・プリンシパルズ社の共同創業者となり、経営コンサルタントとして活動している。約30年のキャリアと豊富な経験ともとにして、煩雑で官僚的な人事制度を廃し、対話と人間関係と職務適正を重視したシンプルで効果的な人材マネジメントを提唱している。
<著者の主張>
経営は科学などできない。企業は人の集まりであり、理屈通りにはいかない。
経営コンサルタントのモデルや理論は流行りのダイエットと同じ。
企業は人間性を重視したマネジメントをすべき。
<ポイント>
ビジネスは理屈どおりにはいかないし、数字では管理できない。
職場から人間性を奪うのは止めるべき、人材のマネジメントさえできれば、うまくいったも同然。
※大企業は「正しい経営」で消える
※人間は命令や管理を嫌うため、成果測定システムに対して、思いがけない反応を示す
※指標の導入で「無意味な仕事」が増える
人間性の向上を考えなさい
・社員同士の交流を改善
・判断力を強化する、または考え方を広げる
・社員が生活を楽しめる環境をつくる
・顧客の生活を豊かにする
経営コンサルタントのモデルや理論は、ダイエットの流行りと同じ
外的要因に対応する「競争戦略」⇒内的要因に基づく「コア・コンピタンス戦略」
トップダウン型で進める「ブルーオーシャン戦略」⇒ボトムアップ型で市場に対応する「適応戦略」
コンサルが去った後に残るのは「大量の資料」だけ
計画自体に価値はない。計画をたてる過程にこそ価値がある。
⇒他人任せにして楽をしてはいけない。
モデルや理論は捨てて、みんなで腹を割って話しあうことに尽きる
客観的な評価など存在しない。
98%の社員が「自分は真ん中より上」と思っている。
⇒評価制度はうまくいかない。
社員の能力が未知数だから、社員のランク付けは無意味。
⇒階層社会ではすべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。
業績が悪いのは、「能力」より「環境」の影響が大きい
給料は業界平均より「少し上回る」がベスト
マネジメントには様々な意見が飛び交っている。
確かなことは、良い人間として人生で成功するために欠かせないのは、良い人間関係を築く能力。
■用語
ブルウィップ効果
サプライチェーンにおいて、川下で起こった小さな需要変動が川上に伝播されるに従って大きな需要変動になる現象
アドホック(ad hoc)
「特定の目的のための」「限定目的の」「その場しのぎの」
シックスシグマ(統計用語)
平均値と近接する規格限界値の間に標準偏差が6つ収まること
ブラウンペーパー
主要業務プロセスのフローチャートに全関係者を集め、気づいた点を付箋を張り付けていく
⇒カタルシス効果(精神浄化)がある
カリグラフィー
文字を美しく見せる手法
ROI
投資利益率