【読書レビュー】『デザイン思考と経営戦略』 奥出 直人
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★☆☆
■タイトル:『デザイン思考と経営戦略』
■著者:奥出 直人
慶應大学大学院メディアデザイン研究科(KDM)教授。株式会社オプティマ代表取締役。1954年兵庫生まれ。慶應義塾大学卒業。ジョージ・ワシントン大学アメリカ研究科博士課程修了。
<著者の主張>
今日において、破壊的なイノベーションを起こすために、デザイン思考が必要である。
<ポイント>
イノベーションは要素を組み合わせて新しいモノを作り出すこと。そのためには組み合わせた時に「全体」として存在しなくてはいけない。※現象学てきには「生きて」いなくてはいけない。 ⇒これがコンセプト
いまデザイン能力を持っている人の欲望やビジョンは、社会が求めているものと一致しない。
日常生活を観察すると人々はそれなりに工夫している。※専門用語でアプロプリエーション(Appropriation)
⇒アプロプリエーションの世界にデザインはない。
デザインとは、要素の統合と全体の一体感、そして輝くような魅力が一体化したもの。
■デザイン思考
観察し、コンセプトを作り、社会に持ち込み、社会を変革するための方法
※絶対に市場調査のデータを鵜呑みにしないこと
ドミナント・デザインを生み出すのがデザイン思考によるイノベーション
評価指標、STP
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング
経営戦略で最も大事なもの。継続的な利益(SSP:Superior Sustainable Profitablity)
※その分野で世界ナンバー1か、ナンバー2になれる分野以外は撤退し、世界ナンバー1かナンバー2になれそうな分野に資源を集中投下する
※マイケル・ポーター「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」
企業対企業のみならず、業界内、業界の外にまで競争する相手を見つけだし、そこと差別化されたポジショニングをとるという戦略手法
例)IKEA デザインされた安価な家具 デザイン家具は高い、安価な家具はデザインされていないという業界の常識を覆す
「コストリーダーシップ戦略」1円でも安い
「差別化戦略」自社の商品を差別化し他社とは違う商品を提供
「集中戦略」特定セグメントに資源を集中投下
⇒ポーターの戦略は、均一化しSSPが確保できなくなる。
ジョブスの言葉:「顧客が何を求めているのかを探すのは顧客ではない。」
デザイン思考では失敗を経験と捉える。
IDEO:やってはいけない
1:オフィスの中で問題解決の方法をあれこれと考える ⇒フィールドワーク
2:話ばかりして作らない ⇒手を動かす
3:可能性を検討している時に、実効性を議論
4:利口に振る舞う
5:間違いを許さない
6:他部門が集まれば多様な視点を得ると勘違いする
7:プロセスを守ればうまくいく