【読書レビュー】『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか 』 ピーター・ティール
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■お薦め度:★★★★★
■タイトル:『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか 』
■著者:ピーター・ティール
シリコンバレーで現在最も注目される起業家、投資家の一人。
1998年にPayPalを共同創業して会長兼CEOに就任し、2002年に15億ドルでeBayを売却。初期のPayPalメンバーはその後ペイパル・マフィアと呼ばれシリコンバレーで現在絶大な影響力を持つ。情報解析サービスのパランティアを共同創業したほか、ヘッジファンドのクラリアム・キャピタル・マネジメントとベンチャーファンドのファウンダーズ・ファンドを設立。Facebookの初の外部投資家となったほか、航空宇宙、人工知能、先進コンピュータ、エネルギー、健康、インターネットといった分野で革新的なテクノロジーを持つスタートアップに投資している。
■著者:ブレイク・マスターズ
法律調査と分析のためのツールを作成するテック系スタートアップJudicataの共同創業者。
■序文:瀧本 哲史
京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。エンジェル投資家。東京大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科助手を経て、マッキンゼー&カンパニーで、主にエレクトロニクス業界のコンサルティングに従事。独立後は企業再生やエンジェル投資家として活動。
■翻訳:関 美和
翻訳家。慶應義塾大学文学部卒業。電通、スミス・バーニー勤務の後、ハーバードビジネススクールでMBAを取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経て、クレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。
<著者の主張>
「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」
ピーター・ティールの自身の経験に基づく、テクノロジーとビジネスに対する考え方をまとめた一冊。
<心に残った言葉>
■ビジネスに同じ瞬間は2度とない。
ゼロが1になる。何かを創造する行為は1度きりしかない。
■テクノロジーは奇跡を生む。
テクノロジーは、人間の根源的な能力を押し上げ、より少ない資源でより多くの成果を可能にする。
■「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」
ピーター・ティールが採用面接で必ず聞く質問。
誰もが信じる幻想を見つけたら、その後ろに隠れているものが分かる。それが逆説的な真実である。
■「誰も築いていない、価値ある企業とはどんな企業だろう?」
永続的な価値を創造してそれを取り込むには、差別化のないコモディティ・ビジネスを行ってはならない。
■独占企業の嘘
競争が理想的と考えるのは誤り、独占が全ての成功企業の条件。
独占企業は自分を守るために嘘をつく。
例:グーグルをテクノロジー企業の1社として自分を位置づければ、グーグルは余計な関心を引かずにすみ、社員やプロダクトや広い社会への影響を考える余裕ができる。
「邪悪になるな」はグーグルのモットー。
■どんなスタートアップも非常に小さな市場から始めるべきだ。
大きな市場よりも小さな市場の方が支配しやすい。
■人生は宝クジじゃない
「完璧な準備のあるところに勝利は訪れる。人はそれを幸福と呼ぶ」
世界で初めて南極点に到達したロアール・アムンセンの言葉。
■90年代の熱狂的なドットコム・バブルの定説、
1)少しずつ段階的に前進すること。
2)無駄なく柔軟であること。
3)ライバルのものを改良すること。
4)販売でなくプロダクトに集中すること。
これらは全て誤りである。ティールの考えでは、
1)小さな違いを追うより大胆に賭けた方がいい。
2)出来の悪い計画でも、ないよりはいい。
3)競争の激しい市場では収益が消失する。
4)販売はプロダクトと同じくらい大切。
■ティールの法則
創業期がぐちゃぐちゃのスタートアップはあとで直せない。
■採用については、待遇競争をしてはいけない。
20人目の社員が君の会社に入りたい理由はなんだろう?