【読書レビュー】『子どもの宇宙』 河合隼雄
このブログでは、毎回自身で読んだ本について、その内容と骨子をまとめたものを掲載していくものである。
■タイトル
『子どもの宇宙』
■著者の主張
子どもと聞くと大人はどうにも自分が通過したものとして、下のものとして扱いがちであるが、子どもには大人にはない深く広い宇宙があるというのが、著者の主張である。
■印象に残った点
・家出について
子どもは自立への意志として家出を試みるが、これは大人の転職でも同じような背景があると考えられる。
つまり、子どもが自分が一人の人間であり、自分なりの主張を持っているのだと思い、家出を試み、そして、自分は未だに駄目だであることを思い知らされることになるが、これは、大人が自分は自立した社会人であると考え、転職や起業を試みるが、結局自分は今だに未熟であったとことを思い知らされ、苦労するのと似ている。
・子どもの秘密について
子どもの秘密は、自身のアイデンティティのためだということが著者の主張である。
つまり、秘密をもつことで、「私が私である」ということを感じようとしているのである。
また、秘密を共有することで、他者との強い絆を感じるようになる。
・子どもと遊びについて
子どもに対する心理療法とは、つまり子どもの自主性を出来る限り尊重して、自由な遊びを促す。
子ども自身の自ら治ってゆく力が発揮されて、治ってゆく。子どもたちは潜在的に自然治癒の力をもっていて、それを促すものが「遊び」なのである。
・導者(トリックスター)としての子ども
子どもには、一般常識にとらわれず、イタズラで神出鬼没なところがあるが、彼らは時としてレオナルド・ダ・ビンチとサライの関係のように導者として役割を果たすことがあるのである。